椎葉周『アルティメット・ファクター』

一応、ネタバレを含んでいるので。
前半は、人類が入植した過酷な惑星、テラ・インコグニタで繰り広げられる西部劇的なアクション。
後半は、超人類であるアルティメットと人類の戦争を描いています。主に局地戦。

ポイントは、まず戦場の描写がすごい。個人の戦闘もそうですが、集団の銃撃戦の描写が圧巻です。
銃器とかあまり詳しくないんですが、三巻のスナイパーとの撃ち合いシーンはいけてます。お勧め。

もう一つ。不都合なまでにラノベ的ではない、ストーリー展開がいいです。
例えば、接近戦では最強レベルなヒーロー側の剣士が、剣を振るう機会を一瞬たりとも与えられずに、機関銃の掃射で頭部に致命傷を食らって、病院送りになります。
主人公も、二回は誘拐されていますし、ライバルに思いっきり負けることも、多々あります。

こんなんだと、消化不良になる読者も居るんじゃね?と思うんですが、そこは作者の哲学のようでして。
残念ながら、最終巻のラストバトルは、ラノベ王道路線でしたが、まあ、商業的には仕方が無いところだと思います。

こういうツーベースヒッターがこれからも、良い作品を書き続けてくれれば、ラノベを読み続ける価値はあると思います。