鯨晴久『おーぷん・ハート ロケットライダーがいた日』

角川スニーカー誌上で、大塚英志が連載していた「キャラクター小説の作り方」から生まれた作品です。この作り方講座は、比較的分かりやすい方法論が構築されていたのと、毎回、その方法論を実習するための宿題が出されて、次の号でやる気のある応募者からの宿題の投稿が発表されていたので、私は、非常に興味深く読んでいました。
で、今回、その成果の結晶である『おーぷん・ハート』を読んでみた訳ですが、これがまた全然面白くないです。ともすれば、唖然とするくらいに。連載時の企画も、確かに陳腐ではあったのですが、いざ小説にすると、ここまで面白くない作品になるとは思いませんでした。
ページ数にして1/4ほどを大塚の解説と、ボツになった他の応募者の作品が占めているのですが、こちらを読んでいる方が面白かったです。

で、作品の何が面白くないかを考えると、結局、行き着くのは

  • ハウツーな方法で作られた作品の面白さには限界がある

ということです。面白い作品を分析してエッセンスを抽出し、面白さの方程式を作成し、それに従って作品を作っても面白くないということです。当たり前の結論ですが、実証されるとは思ってもいませんでした。