冲方丁『マルドゥック・スクランブル』

だいぶ前から積読化していた作品。大いなる期待を持って読み始めて、裏切られませんでした。
私は、基本的に小説にエンターテイメント性しか期待していません。つまり、面白いと感じることのできる作品を読みたいと思っている訳です。基本は、エロス・バイオレンスで、その程度や描写が、いかに自分のフィーリングに合うかが面白さの基準です。
しかし、ごくたまに、そのような思惑を越えて

魂を揺さぶられる

(気がする) 作品に出くわします。ホラーの怖さとか、ミステリーの不思議さへの興味を越えて、作者の主張に引きずられて、作品のディディールが、どうでもよくなってしまう作品です。この作品は、まさにそれでした。

ただ、作品の構成としては、王道ではない気がします。よって、誰もが読んで面白いか?と聞かれると、ノーと言いたいです。